バランスの悪いフォームで走りつづけていると体への負担はどんどん大きくなり、いずれは痛みを感じたり、ケガをしてしまうことも。綺麗な姿勢で、自分に合ったフォームで走ることができれば、スムーズな走りにもつながる。今回は、少し意識するだけで格段に走ることが楽になるフォームのポイントをご紹介。
フォームで気をつけるべき点
フォームにおいて意識して気をつけるべき点を大まかに挙げると「姿勢」「体重移動と重心」「腕の振り」「足の着地」などがある。これらを少し意識して改善するだけで、驚くほど体への負担が軽くなり、楽に走れるようになるのだ。
①姿勢・体重移動・重心
走るときは常に重心を体の前に保ち、どんどん前へと進む必要がある。背筋を真っ直ぐに伸ばし、腰や骨盤を押し出すイメージで走ることにより、自然と重心が安定してスムーズに体重移動ができるようになる。腰や骨盤を前に出すことを意識しすぎるあまり、背中が反り返ったようなフォームになってしまうひとも多いが、このような状態になってしまうと体が後ろに傾いてしまいスムーズな体重移動ができない。反対に背中を反らさないよう意識しすぎて、腰が引けた猫背のような姿勢になってしまっても体重移動が上手くできない。それどころか無理のある姿勢で走り続けると、バランスが取れずに思わぬケガにつながってしまうこともある。
②腕の振り
ランニングに限らず、ウォーキングや普段の歩行も含め、前に進む際には「腕を振る」という行為が必ずついてくる。体の構造上、腕を振ることによりエネルギーを効率よく消費できるようになっているという研究結果もあるのだ。ランニングにおける腕の振りは、バランスをうまく取りながら骨盤にエネルギーを伝えるという重要な役割がある。骨盤に効率的にエネルギーを伝えることで、先ほど紹介したようなスムーズな体重移動にもつながってくるのだ。そのためには、肩や大胸筋には余計な力を入れずにリラックスして、肩甲骨を後ろに引くイメージで肩全体を使って腕を振ることが重要になる。特にマラソンの終盤など体力的に苦しくなってくると、腕の振りが小さくなったり、反対に力任せに腕振りをする走り方になってしまうことが多い。日頃から肩甲骨を使った腕振りを意識することで、よりスムーズに前に進むことが可能になるのだ。
③足の着地
着地はランニングフォームのなかでも非常に重要なポイントとして、次でさらに深く注目していきたい。
足の着地の重要性とは?
ランニングにおいて最も負担のかかる場所といえば、やはり足だ。膝や足首といった関節部分への負担に加え、長時間走り続けることで、ふくらはぎや太腿の筋肉に疲労が溜まっていくなど、足への負担は非常に大きくなる。
地面と足の着地方法については、疲労がたまりにくくなる着地方法や速く走るための着地方法があるとされ、「踵から着地するヒールストライク走法で問題ない」、「地面に対してまっすぐ着地するフラット走法が良い」、「つま先(指の付け根)で着地して、つま先で蹴り出すフォアフット走法が体への負担が少ない」など、これまでにもさまざまな議論が行われている。 こういった議論の背景には、足が地面に着地する接地時間を極力減らしたほうが負担が少ないので、フラット走法やフォアフット走法のほうが効率よくエネルギーを使うことができるという理由があるが、最も大切なことは、自分に合った着地方法で、体のバランスを崩さずに走れるかという点だ。
①踵から着地するヒールストライク走法
特に意識せず走っている場合、多くのランナーはこの走法になっている。足への負担は最も大きいが、自然と足が前に出ていく走法となっている。気をつけたいのは、左右の足でバランスが崩れていないかという点。左右で重心がずれている場合は、シューズの踵が、右側か左側どちらかに偏って磨り減っているはずだ。重心のずれはケガの原因になるので、意識して改善する必要がある。
②地面に対し真っ直ぐに着地するフラット走法
足の裏全体で着地するため、重心が安定し腰を前に押し出して走りやすくなる。また、踵から着地する走法に比べて足にかかる負担も少なくすることができるが、自然な形とは異なるランニングフォームなので、フォームに意識を取られすぎて、体のバランスが崩れないように注意が必要だ。
③つま先から着地するフォアフット走法
世界のトップランナー、特にマラソン大国であるケニアやエチオピアといったアフリカ出身選手の特徴的な着地として、このフォアフット走法があげられる。足への衝撃も少なく足首や膝といった関節への衝撃も和らげることができるが、ふくらはぎの筋肉を最大限に使うため、しっかりとした筋力作りが必要だ。
自分に合ったフォームをみつける
このように姿勢や体重移動、着地といったランニングフォームは、意識的に自分に合ったフォームを見つける必要がある。そのためにおすすめしたい方法は、自分が走っている姿を動画でチェックすること。ランニング中の姿を前後左右から撮影し、映像を見てみると、無意識のうちに背中を反って走っていたり、左右どちらかに体が傾いていたりすることがある。まずは自分のフォームを客観的に見て、改善点を探すことが大切だ。
改善点が見つかったら、徐々に正しいフォームに近づけるよう、意識してみよう。ランニング中の姿勢に無意識に現れている改善すべき点は、普段の生活が影響していることが多い。たとえば、イスに座るときに足を組んで座るひとは重心が傾きがち。普段から猫背のひとは、当然ランニングフォームも猫背になってくる。まずはランニングフォームに影響を与えている、普段の生活から意識したい
Illustration: Fujii Tomoko
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