【Column】ランナーズニーの対処法とは?

ランニングによって引き起こされる膝関節周辺のスポーツ障害を、総称して「ランナーズニー」という。今回は、その原因や予防策、対処法をご紹介。

ランナーズニーの原因と予防策


ランナーズニーの原因として、最もポピュラーなのがオーバーユース、つまり走りすぎだ。少しでも膝の調子がよくないと感じたら、決して無理をせず休息をとることを心がけよう。

また、筋肉の柔軟性の低下も原因になり得る。柔軟性が低いと脚全体の緊張状態を招き、ランナーズニーだけではなく、そのほかの怪我につながる恐れもあるので要注意。ランニングの前には、アキレス腱とハムストリングス(太もも)を意識した入念なストレッチを行うことを心がけよう。ちなみに、その際は膝の裏を重点的に伸ばすのが効果的だ。


さらに、ランニングコースの地面の固さや傾斜にも注意が必要だ。急斜面、特に下り坂のランは膝に大きなダメージを与える。屋外ランニングの際は、地面が柔らかく、傾斜のなだらかなコースを選ぼう。加えて、シューズのクッション性の質にも注意したい。当然のことだが、ソールが薄く地面からの衝撃がダイレクトに伝わるものは、膝への負担が大きい。ランニングシューズは走る距離やスピード、ランナーのレベルなどを想定し、クッション性に違いを持たせている場合もあるので、シューズ選びの際は、デザインのみならずクッション性にも着目してみよう。


以上がランナーズニーの主な原因と予防策だ。ストレッチ不足に代表されるように、ランニングを始めたばかりの頃は意識していた基本的なことが、「慣れ」にともなっておろそかになることは決して珍しくない。心当たりのあるひとは、もう一度、初心にかえってみては?



自分で行うことができる対処法とは?


ここでは、実際にランナーズニーを発症してしまったときの対処法をご紹介する。まず最も手軽に行える有効な処置は、アイシングだ。氷のうやビニール袋に氷を入れ、15〜20分程度患部に当てる。その後に湿布をしよう。ただし、アイシングの時間は長すぎても短すぎてもよくないので、できれば一度診察を受け、医師などの指導のもと行うことが望ましい。


また、ランニングフォームの改善も効果的。ランナーズニーは膝の皿と膝の外側の筋肉の摩擦によって起こるため、発症してしまったひとは外側重心で走っている可能性が高い。自分のランニングシューズのかかとの部分をチェックして、外側が極端にすり減っている場合は、脚の内側を使って走ることを意識しよう。


大切なのは、原因を正しく知り適切な対処を行うこと。そのためには、信頼できる医者を見つけることはもちろん、ランニング経験の豊富な友人が身近にいると、心強い。彼らは、先輩ランナーとしてフォームやシューズの知識を与えてくれる貴重な存在になるだろう。



膝に優しく走るためのコース選び


最後に、ランナーズニー予防・対策におすすめのランニングコースをいくつかご紹介する。


◆代々木公園

ひとつめは渋谷区にある代々木公園だ。最寄駅は、山手線の原宿駅、もしくは東京メトロ千代田線の代々木公園駅。森林の公園と言われているだけに季節の花や植物が豊かで、自然を感じながらランニングを楽しむことができる。とりわけバラの美しさは素晴らしく、バラのシーズンには関連イベントが催されるほどである。園内は芝生の地面もあり柔らかく、膝への負担が少ないうえ、トイレや給水所もたくさんあるため、ランニング環境は抜群だ。


◆皇居周回コース

ふたつめは、千代田区にある皇居ランニングコースだ。アクセスに優れ、ロッカー類が充実していること、傾斜がなだらかで膝への負担が少ないこと、一周約5kmで、走った距離が計算しやすいことなどから、多くのランナーに愛されている。そのため、平日の夜でも多数のランナーがおり、女性も比較的安心してナイトランに取り組める。眺めもよく、桜田門や竹橋などの名所を見ながら走ることができるのも魅力的だ。しかし、観光スポットとしても人気で、ランニング以外の目的で訪れるひとも多いため、歩行者を追い越したり、すれ違う際は、声掛けをして注意を促すなどのマナーを大切にしよう。


◆若洲海浜公園ランニングコース

最後は少し趣向を変えて、江藤区にある若洲海浜公園ランニングコースをご紹介する。ここは海に沿ったコースで、眺めもよく、東京スカイツリーやディズニーランド、高層ビル群を見渡しながら走ることができる。人通りはあまり多くなくのびのびと走れるため、膝の痛みの原因でもある間違ったフォームを改善するときにも利用しやすい。注意点としては、サイクリングコースと密接していること、近くにコンビニや飲食店が少ないことなどが挙げられる。ランニング前後に食事をする予定ならお弁当を用意するか、事前に買っておき、公園内で食べるのがベストだ。


このように東京都内はランニングコースが充実している。季節はもちろん、そのときのコンディションに合わせて上手く利用することができれば、膝を大切にしながら走ることができるだろう。



今回は、ランナーズニーについて取り上げた。やはり、一番の原因はオーバーユースということで、なによりも無理をしないことが大切といえる。コース選びや予防策もうまく活用しながら、自分の体を大切に、ランニングに取り組んでもらいたい。


Illustration: Fujii Tomoko

0コメント

  • 1000 / 1000