【Interview】苦しんだ経験が、言葉に血を通わせる(前編)──eyeron [ソナーポケット]

デビュー7周年を記念し“7つの挑戦”プロジェクトを進行中の3人組音楽ユニット、ソナーポケット。2016年3月20日、7つの挑戦のうちのひとつとして、7時間にもおよぶ公開生放送番組『ソナーポケット7周年企画7時間生放送〜“おもらし”してもいいですか?〜』がAmebaFRESH!で放送された。

この番組内で、2015年に走ることを始め、これまで二度フルマラソンを完走しているボーカルのeyeronさんに、“走ること”について語ってもらった。アーティストである彼が、ここまで走る理由はどこにあるのだろうか。


※番組内では「eyeronさんにNGワードを言わせる」というドッキリ企画として行われていましたが、本稿では、そのインタビュー内容にフォーカスしてご紹介します。


聞き手:田原"104"洋(MOBSTYLES), 上田唯人(走るひと編集長)


つらい道のりで出会ったひとつの魅力


--eyeronさんは、これまでにフルマラソンを二回走られているのですよね。


そうなんです。2015年11月の福岡マラソンと、今年3月の横浜マラソンを走らせてもらいました。今、ソナーポケットはデビュー7周年プロジェクト“7つの挑戦”を行っていて、そのひとつめの挑戦として福岡マラソンに出場したんです。

2015年には長い期間をかけて全国をまわるホールツアーもあったし、しっかりとスタミナを付けて飛躍を遂げる年にしたいっていう想いがありました。それで、去年の元旦の朝から走り出したんです。最終的に、年間を通して2000キロ以上も走っていたんですよ。途中からはもう、走らないと気持ち悪いっていう感覚になりましたね。その最後を飾る場として、福岡マラソンを選びました。こんだけ走ったんだから、何かに挑戦してみようって。


--それだけ走られていたのなら、フルマラソンも「いける」という感じがあったのでは?


めっちゃありましたね(笑)。初挑戦のフルマラソンで3時間半を切ったらかっこいいなって思って、狙ってました。それで本番でもずっと3時間半ペースを保てていて、「絶対いけるわ」って(笑)。でも、30キロを過ぎたくらいで右脚をつってしまって。そのあとすぐに、右脚を庇っていたことで左脚もつって……残りの9キロくらいが本当に地獄でしたね。その日が11月にしては異例の暑さだったこともあって、水分不足になってしまったんだと思います。

一方で、沿道の方の応援がすごくて、これがマラソンのいいところだなって感じました。おじいちゃんが「頑張れ! もう少しだ!!」って応援してくれたり。ゼッケンにカタカナで「アイロン」って書いてあったので、そのおじいちゃんは俺がどこの国のひとなのかもよくわからなかったと思うんですけど(笑)。あとは、学生の子たちが並んでハイタッチしてくれたり。そのおかげで、残りの9キロ、つらかったけど頑張ることができた。これって、マラソンの大きな魅力だなって気付きましたね。


--ひとの支えや声援があったからこそ、完走できたという部分もありますか?


あります。途中でリタイアも考えたので……そのときソナポケは『学園祭Tour2015』の期間中で、フルマラソンの数日後にもライブを控えていたんですよね。万が一、これで音楽活動に穴を開けてしまうことになったら意味がないと思って、本当にリタイアを考えたんです。でも、やっぱりこれだけ応援してくれてる方もいるから、苦しくてもゴールまで行こうって。最後は歩きだったんですけど、なんとかたどり着くことができました。

ゴールした瞬間は、感動して泣いちゃいました。今でも忘れられないです。フルマラソンをゴールしたときって、今まで味わったことのない感動とか、興奮がありますよね。肉体的な疲労も含めて、ライブとはまた別の達成感っていうか。 


--福岡で悔しい思いをされてから先日の横浜マラソンに向けて、どんなことをされたのでしょうか。


1キロずつ、タイムをどんどん上げていくトレーニングをしていました。最初は1キロ5分とかで走って、次の1キロは4分50秒、その次は4分40秒……という感じでトレーニングをすると、脚が強くなるんです。つりそうなところを耐えられるようになるというか。あとは大会の2週間前から、格闘家の方とかもよく使っているトレーニングマスクを着けて走ってましたね。高地トレーニングに近い効果を得られるマスクで、心肺機能を上げられるんです。そのおかげで、33キロ地点くらいからも、ぜんぜん加速できたんですよ。たぶん、そのトレーニングがなかったらうまく呼吸ができていなかったと思います。

あと、当日はしっかりと水をとることを意識しました。横浜マラソンの日は気温もそんなに高くなかったのでそこまで心配しなくても大丈夫かなって思ったんですけど、やっぱり前回の失敗が怖かったから……。


--横浜マラソンではトレーニングの成果を発揮できましたか? 3時間半目標ということは、本番ではキロ5分ほどのペースで走っていたのでしょうか。


そうです。だいたい5分〜5分10秒くらいで。俺がちょっとスピード出しすぎたら「eyeronちょっと速いから、ペース落としていこう」って仲間が言ってくれるんです。それで25キロ過ぎくらいかな、横浜マラソンの特徴でもある、高速道路を走るあたりで、「まだいける」と思ったのでちょっとずつ上げていきました。もう、トレーニングした通り、イメージした通りにいけたので、やってやったなっていう感じでしたね(笑)。


--一番速いときで、どのくらいのペースだったのですか?


4分半とか、4分20秒とかですかね。残り5キロくらいのところで、一緒に走ってた仲間と「これ、3時間半切れないかも。3時間40分くらいかもしれない」って話してたんですよ。でも、目標達成できなかったら悔しいし、俺はまだいけるって思ったから……残り5キロくらいは4分20秒ペースとかで走って調整して、ギリギリ3時間半でゴールできました。

実はゴールしてからも、「まだ走れる」っていう感じだったんです。でもいくつか課題もあったし、次に向けてまたいい勉強をさせてもらいましたね。次は3時間15分を切って……次の次くらいにはサブ3も狙ってみたいなって思っています。

でも俺、去年のツアー中に「福岡マラソン3時間半切るわ!」って言って、結局4時間11分だったので……3時間15分をちゃんと達成してから、改めてその次の目標を発表することにします(笑)。


Photo: Imai Takashi/Text: Sasanuma Kyoka


eyeron

名古屋市出身の3人組音楽ユニット『ソナーポケット』のボーカル。ロック、ヒップホップ、レゲエと、それぞれルーツの異なる3人が生み出す音楽は、「恋愛」「友情」「感謝」といった普遍的なテーマを独自の強いメッセージ性で表現しており、幅広い世代の人々の心をつかんでいる。

http://www.sonapoke.jp/

0コメント

  • 1000 / 1000