【Column】ジムでのランニングを考える

ランニングは屋外で行うもの、というのが一般的なイメージではないだろうか。けれど、フィットネスジムでランニングに励むひとたちも決して少なくはない。今回は、ジムでのランニングについて、屋外との違いや飽きずに取り組む方法などを考えてみる。



トレッドミルを使いこなそう


いまやどこのジムにおいても、「トレッドミル」というランニングマシンが導入されている。トレッドミルは、幅広い機能を持つマシンだ。たとえば、走行ベルトの速度を自由に変えることができる。屋外でのランニングは、良くも悪くも、ペースを自分でコントロールしなければならないうえ、疲れてくると、ペースが落ちてしまいがちだ。ましてや、交通量の多い街中で、一定のペースで走り続けることは容易ではない。その点、トレッドミルを使えば、ペースを一定に保ったまま走り続けることができる。

その他の機能としては、ベルトの傾斜角度を変えることで、より強度の高いトレーニングが行えることや、走った距離や時間、心拍数や消費カロリーなどのさまざまなデータが表示されることが挙げられる。まずは、ジムのトレーナーに自分の目標や希望を伝え、マシンの設定を調整してもらおう。自分に合った設定を見つけることが、よりよいトレーニングへの近道だ。


屋外とジム、トレーニング効果の違いを知る


それでは、屋外でのランニングとジムでのランニングとでは、トレーニング効果が高いのはどちらだろうか。その研究は、かなり古くから行われてきたが、大きく変わりはないという見方と、大きく異なるという両端の見方があり、現状では明確な答えは存在しない。というのも、それぞれにメリットとデメリットがあるからだ。


屋外でのランニングは、天候や地形、交通などのさまざまな条件にペースが乱されやすいことや、コンクリートを走ることによる脚への負担がデメリットといえる。しかしながら、マラソン大会への出場を目的としているなら、屋外でのランニングを行い、そういった環境に身体を慣らしておくほうが、大会への適応力が身につくだろう。また、屋外でのランニングとトレッドミルを使ったランニングでは、使う筋肉が異なるという意見もあるため、やはり大会などを目指す場合は外を走ったほうが良いとされている。ジムでのランニングの場合は、安定したペースが保てるというメリットがあるものの、景色の変化が無いぶん飽きやすいというところは、デメリットと言えるかもしれない。


また、両者の間の大きな違いは、ジムでランニングをする場合には、他のトレーニングも織り交ぜることができるということだ。例えば、筋力を鍛えるためのトレーニングを行ったあとでランニングをすれば、よりトレーニング効果が上がると言われている。 屋外で走る場合も、自分なりに考えて、筋力系などの別トレーニングを組み合わせる工夫はできるが、ジムの機器を利用する場合と比べれば、効果が劣ることは否定できない。それぞれの特徴を十分に理解したうえで、自分が目指す目標に応じて、屋外とジムを走り分けるのが理想的だ。


音楽を活用しよう


これまでにも述べたように、環境の変化にランのペースを乱されないことが、ジムでのランニングのメリットである。しかしながらこれは、裏を返せば常に同じ景色を見つつ走り続けるということである。ジムでのトレーニングは、屋外でのトレーニング以上に、いかに飽きずに続けるか、という課題を抱えている。では、いったいどうすればよいのだろうか。


この「飽き」を解決する手段としてきわめて有効なのが、音楽を聴くということ。どれだけ走り続けても、トレッドミルから見える景色は変わらない。しかし、音楽の力を借りれば、気持ちを高めて楽しく走ることもできれば、落ち着いた気分で長時間走り続けることもできるようになる。自分の携帯音楽プレーヤーにあるお気に入りの音楽はもちろん、音楽サブスクリプションサービスを利用するのもよいだろう。

「AWA」のなかには、オフィシャルのものから一般ユーザーが作成したものまで、たくさんのプレイリストが存在する。たとえば、テイラー・スウィフトの楽曲に代表されるような、アップテンポなダンスナンバーが詰め込まれたプレイリストを聴けば、楽しくトレーニングすることができるし、Coldplayのように、落ち着いたスロー/ミドルテンポから、気持ちを駆り立てるようなエモーショナルな楽曲まで、バリエーションに富むアーティストが組み込まれたプレイリストを聴けば、一定の速度と環境を走り続けるなかでも、感情のメリハリをつけやすいだろう。自分だけのオリジナル・プレイリストの作成も手軽に行えるので、その日の気分に応じて、あらゆるプレイリストを使い分けてみてはいかがだろうか。


このように、音楽を上手に利用することで、ジムでのランニングも、その日ごとに異なる気持ちで取り組むことができる。音楽を聴き、より一層有意義なトレーニング時間を創り出し、それぞれの目標に向かって走り続けよう。


Illustration: Fujii Tomoko

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