『フルマラソンによりそう音楽』制作メンバーの三原勇希とともに、彼女とプライベートでも親交がある同世代の面々が“チーム走るひと”として『2016 おきなわマラソン』に集結。今回10kmロードレースに参加したメンバーには、それぞれプレイリストの別の区間を聴いてもらった。フルマラソン参加組の帰りを待ちながら、同世代の友人同士ならではの歓談が始まる。42.195kmのなかで変化し続ける気持ちや体に沿ってイメージされた区間ごとの色は、どのように現れるのだろうか。
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<参加メンバー>
1区:走り出したくなる曲 担当
猪鼻ちひろ(写真右中)
モデル。東京都出身。自身が立ち上げたアクセサリーブランド“Chiro”のプロデューサーとしても活躍中。
2区:ランの楽しみを深めてくれる曲 担当
持永真実(写真左中)
モデル。キックボクシング、フルマラソン、トライアスロンなどスポーツに積極的に取り組んでいる。
3区:強く背中を押してくれる曲 4区:走れなくなったときの曲 担当
ベイカー恵利沙(写真左)
モデル・スタイリスト。ファッションやライフスタイルが同年代の女性から支持され、Instagramで多くのフォロワーを持つ。
<聞き手>
三原勇希(写真右)
タレント・モデル。スペースシャワーTV『SPACE SHOWER COUNTDOWN』『桜井食堂』、MBS『オレたちゴチャ・まぜっ!』に出演中。『フルマラソンによりそう音楽』制作メンバー。
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【1区:走り出したくなる曲】
「駆け出す心に余裕と自信をもたらしてくれる」猪鼻ちひろ
ベイカー恵利沙(以下、恵利沙) 1区から聴いたのは、ちーちゃん(猪鼻ちひろ)だったよね?
三原勇希(以下、勇希) どうだった?
猪鼻ちひろ(以下、ちひろ) 高揚感があって、すごく良かったよ。「いけ!いけ!がーんばれ!!」みたいな。
持永真実(以下、真実) 応援歌的な感じ?
ちひろ そうそう。QUEENの『We Are The Champions』が流れてきたときは「もしかして私、速いのかも」って、自分がチャンピオンになったみたいな気持ちで走れた。途中、ゆったりした曲もいくつか入っているよね。今回走ったのは10kmだったから、常に自分を奮い立たせてくれるような曲を聴きたくて、実はちょっと飛ばしちゃったりもしたんだけど……でも、フルマラソンのときは和やかな曲が必要なときもあるから、フルではちゃんと通して聴きたいと思ったよ。
勇希 1区にゆったりした曲が入っているのは、鹿野さん(音楽ジャーナリストの鹿野淳。『フルマラソンによりそう音楽』制作メンバー)の提案なの。フルは長い道のりだからこそ、最初に気持ちを落ち着けて、言葉で応援してほしいっていう想いがあって。でも、基本的には走り始めの背中を押してくれるような曲が多いかな。
ちひろ 確かに、私はまだ一度しかフル走ったことないけど、「スタートから飛ばさないように」ってとにかく言われた。だからゆったりした曲が入っていると、ついついスピードが出ちゃいそうになる序盤に気持ちを落ち着けられて、よさそうだね。
勇希 1区のなかで印象に残った曲とかある?
ちひろ 一番は、やっぱり最初の『007 ジェームズ・ボンドのテーマ』かな。映画観たばっかりだし、自然と自分がスパイみたいに何でもできる気がしてくる(笑)。
勇希 やっぱりそうだよね! それくらいの余裕を持って楽しんでもらいたいなっていうスタート前の序章の曲なの!
ちひろ あとは、Coldplayの『Viva La Vida』が、スタートにすばらしく適してた。よくぞ入れてくれましたっていうくらい。ジャスティン・ビーバーの『What Do You Mean?』とブルーノ・マーズの『Runaway Baby』の二曲は爽やかで自然と耳に入ってくる感じがすごく好きで、普段から結構聴いてたから「え? 私の好きな曲が流れてる!」ってテンションも上がったよ。あとはSuperflyの『Beautiful』は、ボーカルの志帆さんの力強い歌声に心臓が震えた。歌が私の味方になってくれたような感覚っていうか……。このタイミングで歌詞と歌声の両方で力強く気分を上げてくれる邦楽がくるのは本当にすごかったな。
【2区:ランの楽しみを深めてくれる曲】
「脱力した体を運ぶのは、軽快なリズム」持永真実
勇希 2区を聴いてくれた真実ちゃんはどうだった?
真実 私が聴いた2区は、フルマラソンだとちょうど走り慣れてきた頃の時間帯に、いい感じに力を抜いてくれるような曲が揃っている印象かな。
勇希 まさに!
真実 すごく落ち着いて走れたよ。けど、励みになる言葉を勢いよく響かせているような曲もあって……ウルフルズの『ええねん』には励まされた。ひたすら「これでええねん!」っていうことを言われて、「私はこれでいいんだ」って自信をもらえたの。でも、「ちょっと休めばええねん」って歌詞のところでは思わず「え、休まないし! まだまだ走れるし!」ってツッコミをいれちゃった(笑)。
勇希 2区は、スムースに走り続けられるように、さっきまさに真実ちゃんが言ってくれたように力を抜いて、それでいてテンポよくいける曲をみんなで集めたの。この区間はそれぞれが選んだ8曲が塊のまま並んでいるから、キャラの違いも見えてくるんだよ。最初が都ちゃん(モデル/女優の高山都)、次が金井さん(ロックバンド『BIGMAMA』Vo./Gt.の金井政人)、その次が私で、最後が鹿野さん。『くそったれの世界』から『ええねん』までの8曲が都ちゃんのセレクトかな。
恵利沙 都さんっぽい!
勇希 これ聴いた? 金井さんセレクトのClean Banditの『Rather Be』。弾むように走れるおすすめの曲だよ!
真実 私、今回はここまでいかなかったかも。フルで聴くのが楽しみ!
【3区:強く背中を押してくれる曲 4区:走れなくなったときの曲】
「ストレートな言葉が周りの景色を変える」ベイカー恵利沙
勇希 えーちゃん(恵利沙)は3区から聴いてみてどうだった?
恵利沙 3区と4区は、ストレートに心に響いてくる邦楽が多かったの。歌詞がすごく沁みる感じの歌。サンボマスターの『できっこないを やらなくちゃ』はもう大好き! 受験生のときにいっつも聴いてたの。「自分じゃだめかなんて無駄な言葉だよ」とか、歌詞がめっちゃストレート! ほかにも、じんわりと励ましてくれるような『ひまわりの約束』とか『よろこびの歌』もあって……なんだか、聴いている曲によって、見える景色が変わるの。最初は自分を励ましてくれる感じの歌が多かったから「自分に負けるな、がんばれ!」って内側に目が向いていたんだけど、『ひまわりの約束』が流れてきたら「みんなありがとう!」みたいな気持ちになって、外に目が向いたの。沿道から応援してくれてるひとに「ありがとう!」って。
勇希 わかる!
恵利沙 『よろこびの歌』のときも、みんなに羽が生えてるように見えて、周りの景色がキラキラしてきたよ(笑)。そのあと、忘れらんねえよとかアジカンとか、チャットモンチーとか、ちょっと懐かしい邦楽ロックが続いて……。
勇希 誰もが知ってて、いろんなひとに愛されてる曲だよね。
恵利沙 そう! 懐かしくてうれしくて、言葉もガツンと入ってきて。気持ちいいなって思いながらゴールしました。本当に、聴く曲によって見える景色がどんどん変わる!
勇希 えーちゃんに聴いてもらった3区と4区は、一番つらい30kmくらいの地点から。言葉で応援してほしいところだなって思って、3区はストレートな言葉で応援してくれる曲が多くなってるの。
恵利沙 邦楽が多かったのは、やっぱり言葉がまっすぐ届くからなんだね。
勇希 ラストの4区は、35km以降。感動するような曲だったり、みんなが知っている曲が、最後のもうひと頑張りを支えてくれる。
恵利沙 『ドント・ルック・バック・イン・アンガー』聴きたかった!
勇希 そう、それゴールの曲なの! これでゴールしたらやばいよね!
真実 周りの景色がスローモーションになりそう。大勢のひとに拍手で迎えられてる気分になるね。
ちひろ 自分が主役みたいな……なんか撮られてるような気がしちゃうよね。
勇希 この曲は、「究極の俺ソング」って言ってて。自分が主役で、周りにみんながいて、たくさんのひとに「おつかれさま!」って祝福されてる感じをイメージしたんだよ。
ちひろ その次のBIGMAMAの『Sweet Dreams』は?
勇希 『Sweet Dreams』は映画のエンドロールみたいに、ゴールしたあと歩いてるときに流れてくるの。
耳元で感じられる、誰かの想い
恵利沙 さっきちーちゃんも言ってたみたいに、自分が好きな曲が流れてきたら……私の思い出の曲が、ほかの誰かにとっても大切な曲なのかもって思えて、すごくうれしかった。そのひとの想いを耳元で感じられるような気がして、走りながら「ひとりじゃない」って思えたの。
勇希 うれしい! そう、ひとりじゃないっていうのを感じてもらえるといいなって思いながら作ったんだよ。
ちひろ おしゃれな洋楽とかが多いのかと思ったら、ももクロみたいな幅広い世代に愛されてる曲とか、合唱団やオーケストラの曲もあったりして、面白いよね。
真実 テンポが速くてグイグイ上げてくる感じの曲だけが走れる曲じゃないんだって初めてわかったよね。ゆったりした曲とかも必要なんだなって。
ちひろ これ、10km用のプレイリストもほしいね。10km用だと、またテンポとか、曲の流れとかも違った感じになると思うし。あとは気持ちとか季節とか、走りたいシーンごとにプレイリストがあっても面白いかも。
恵利沙 今日はフル用のプレイリストをそれぞれ区間ごとに分けて聴いたけど、誰かと同じタイミングで、同じプレイリストを聴くのも楽しそう。離れたところを走っていても、「あの子も今、同じ曲を聴いてる!」って思ったら、なんだか心強いよね。それに、走り終えたらプレイリストの感想で盛り上がれる!
勇希 それもやりたいね! よかった〜みんなが楽しんでくれて。
ちひろ 普通に公園を走るときにも聴きたいね。
恵利沙 次にフル走るとき絶対に聴く!
真実 最初から最後まで聴きたい!
ちひろ 私、今回最初から聴けてちょっといいとこ取り感があったけど、みんなにもまたフルで聴いてほしいな。
真実 え、でも真ん中もよかったよ!?
恵利沙 最後も最高だよ!!
勇希 (笑)いえーい! おつかれさまでした!!
Photo: Ishino Chihiro/Text: Sasanuma Kyoka
チーム走るひと
今回の参加メンバーをはじめ、走ることを習慣とする人々のつながりによって生まれたコミュニティ。あらゆるイベントや大会を、賑やかに走り抜ける。
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