スタート地点では、長い道のりに一歩を踏み出したくなる曲を
~♪ (『007 ジェームズ・ボンドのテーマ』が流れてくる)
三原 これ、テンションあがりません!? フルマラソンって42.195kmですごく物語があるじゃないですか。前回走ったときはラストがあまりにつらくて、自分が映画の主人公みたいに思えてきたんですよね。だから、スタート地点では気分を高めようと思って、好きな映画の音楽を選びました。
高山 なんか動きが機敏になりそう。気分はボンドガールやな(笑)。
鹿野 これは基本的に夜を想定して作った曲だと思うんだよね。それをフルマラソンに出発する早朝に聴く、っていうのがいい(笑)。
三原 楽しくなれるでしょ?(笑)007は、私のなかで “序章”のイメージです。次が本当の1曲目で、イントロが走り出しにぴったりなThe Cure『Just Like Heaven』。ランとかドライブのときに聴くのがすごく好きな曲ですね。最初は勢いのある曲でまとめたかったから、くるり『ワンダーフォーゲル』とかFishmans『RUNNING MAN』を選んでます。
金井 スタートからちょっとテンションがおかしい感じでいいですね(笑)。僕は、Underworld『Born Slippy (Nuxx)』にしました。ざっくりした“オリンピック感”というか……スタート地点に立つと、なんか自分も選手なんじゃないかなって気持ちになる。「あれ? 頑張ればメダルでも獲れるんじゃないの?」って勘違いしてしまうところがあるんです。で、この曲は究極にそういう気持ちになれるから、すごく好きで。
高山 わかる! すっごいわかる!
鹿野 金メダル感のある曲だよね。Underworldはロンドンオリンピックの音楽監督だし、余計に。
金井 スタート地点にいるひとたちって、たぶんみんなそういう気持ちを味わってると思うんですよね。もれなく僕もそうなった。あとはColdplay『Viva La Vida』も、そんな気持ちにさせてくれる曲です。
高山 私の1曲目はThe Royal Concept『On Our Way』。最初のイントロからサビまで、どんどん盛り上がっていけるんですよね。マラソン大会の朝、寒いけど徐々に陽がのぼってくる雰囲気にぴったり。で、みんなが一斉にスタートする……たくさんの靴がぶわーっとスタートラインを踏んでいく様子をイメージしてるんです。
鹿野 ストリングスってやっぱり何十人もが鳴らすためにある楽器だから、聴覚に入ってくると、空間にたくさんひとがいるっていう感覚が持てるんだろうね。
高山 確かに、ひとがいっぱいいるところを思い浮かべて選びました。あとは[Alexandros]の『ワタリドリ』も爽快に広がる感じが好きなんです。1区のプレイリストはイントロ重視のセレクト。どの曲も気持ちを高めて、広げてくれる印象ですね。
金井 4つ打ちの音楽って「パカラッパカラッ」って感じがあるじゃないですか。馬のひづめの音みたいなそのイメージが、走ることとすごくリンクしてる気がする。
鹿野 俺も4つ打ち好きなんだけど、キック音よりハットとかその“馬のひづめ感”に走らされてる気がするな……馬のようになりたいっていう自分のイメージかも(笑)。
高山 リズムとか音の雰囲気が、そういう想像をさせてくれますよね。走ることを彷彿とさせる曲だから、ぜひスタート地点で聴きたい。
鹿野 でも、僕の1曲目は三原さんと同じファンファーレの役割で『スター・ウォーズ』のメインテーマ。今年の東京マラソンを走るときにはまだ映画が終わってなさそうだし、お約束で選びました(笑)。で、そのあとに小田和正さんや讃美歌感の強いJeff Buckley『ハレルヤ』で落とす。スタートはまだ体が走ることに慣れていないし、沿道のひとたちともうまく付き合えていない時間だから、リズムよりも言葉がほしくて……言葉をもらって、それで無理やり走らされたらいいなと。実際、北海道マラソンでつらくなったときにシャッフルで小田和正さんの『東京の空』が流れてきて、ぐわーっと頑張れたことがあるんですよね。QUEEN『We are The Champions』も言葉縛り。さっきの金井と一緒でオリンピック感もあるし、音楽に勝ち負けはないけど、自分にとってマラソンは勝ち負けがあるから(笑)、その感覚をもらうようなイメージですかね。
三原 『気球にのってどこまでも』はどんな曲ですか?
鹿野 キャッチーな児童唱歌で、自分で歌いながらよく走ってます。『エヴァンゲリオン』とかでも一番おいしいところで流れる曲なんですが、言葉が純粋すぎてかなり威力がある。これを歌いながら走ってると変人扱いされるけど、自分のアドレナリンは上がるんだよね。ということで、1区は言葉で並べてみました。
42.195kmの一歩目にふさわしいのは?
鹿野 三原さんの『007 ジェームズ・ボンドのテーマ』か僕の『スター・ウォーズ』のどっちかで始めることにしちゃって、そこから選曲していくのはどう?
高山 よさそう! あがりますね。
金井 たいがいのひとがスタートラインにたどり着けるのって、出走から20~30分後くらいじゃないですか。で、そこにいくまで暇ですよね。待ちながらこのプレイリストを聴いてもらってる時間って結構長いんじゃないかな。
三原 確かに、スタートって時間差ありますよね。
高山 そっか。じゃあ最初を007にして、真ん中くらいに『スター・ウォーズ』を持ってくれば、ゲートをくぐるときにもちょうどいいかも。
三原 007はちょうど、まだ裏にいるような準備感があるでしょ? でも、本当にこれでいいんですか?(笑)
金井 いいと思う(笑)。AWAの画面には3曲目までのジャケットが表示されるから、そこの引きも大切ですよね。
三原 007はいろんなジャケットがありました。かっこいいやつ選びましょう。
高山 結構ジャケ写からプレイリスト見たりするもんね。
鹿野 三原さんの007から次の曲を指名して、しりとり的につないでみようか。
三原 じゃあ、次は金井さんのColdplay『Viva La Vida』で。
金井 このあと『スター・ウォーズ』はまだ早いよね。じゃあ、みやちゃんのThe Royal Concept。
高山「次は安藤裕子さんが小沢健二さんの曲をカヴァーしている『ぼくらが旅に出る理由」かな」
鹿野「となると、彼女が同じくくるりの『ワールズエンド・スーパーノヴァ」をカヴァーしている流れで、くるりの『ワンダーフォーゲル」というのはそう?」
三原「あ、くるりもあのカヴァーアルバムに入ってるんですね! 次は何がいいかな……?」
金井 えーっと……Bruno Mars『Runaway Baby』。
鹿野 そこ行く前に高山の『MirrorDance』(androp)か『ワタリドリ』を通ると、すんなり曲の感じがつながるんじゃない? 未明から朝焼けって雰囲気。
金井 そのあとなら、余韻でUnderworld『Born Slippy (Nuxx)』ですね。
鹿野 いいじゃん、いいじゃん。そしたらここで一回終わらしちゃおうかな、『スター・ウォーズ』で。
高山 直後にQUEENやったらいきすぎ?(笑)
金井 いや、スタートは仰々しいほうがいいんじゃない?
一同 (笑)
Photo: Imai Takashi/Text: Sugawara Sakura
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