【Interview】ランは、大好きな音楽と向きあう自分だけの時間(後編)──高山都

シューズを履いて走り出せば、耳もとであふれるお気に入りのメロディ。足音に刻まれるアップテンポなリズムが、彼女を音楽の世界へと連れ出した。一つひとつの音が、言葉が、研ぎ澄まされた五感を伝って、深く深くしみわたる。


音楽を流す瞬間が、毎日の生活のスイッチに

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——普段聴いている曲とラン用プレイリストとの違いってなんでしょう?


普段、家で聴くときはもうちょっと柔らかい曲を聴いたりもするんですけど。走っているときは、自分一人の世界にはまって「好きなもので埋めたい!」みたいな状態だから。自分をストイックにさせてくれるものでもあるし、同時にエゴのかたまりでいいとも思っています。最近のサブスクリプションサービスは、一人で聴く前提ではなく誰かと共有することがすごく多くなってきたじゃないですか。たとえば仕事場で、あるいはキャンプに行ったときに音楽をかける、という形で共有することが多くなったから、選ぶ曲も“みんなが好きそう”とか“ちょっとおしゃれ”とか意識して選びますよね。でももうランニングのときだけは、エゴのかたまりでよくて、誰に気を遣うこともなく“超・私の欲のかたまりでいい!”という選曲をしてるんです。でもそれがもう本当に気持ちよくって、普段ちょっと抑制しているものがそのときだけはめちゃくちゃ充たされるんですよ。ちなみに、ちょっとずつ曲は足しているけど、この選曲って走り出したときからあんまり変わっていません。好きなものって変わらないじゃないですか? 好きなもので埋め尽くされると、飽きないんです。テンションもずーっと保てる。今の時代ってなんでも“共有できる”からこそ、ランニング中にイヤホンをして、自分だけの音楽との時間を大切にしてもいいのかなって。


ーー自分と向きあう時間、ということが音楽に表れていますね。


私にとって音楽はもう、自分の内にっていう方向なので。音楽を聴きながら走るのは、自分にとって特別な時間、自分だけのエゴの時間ともいえるのかもしれない。ランを始めたころは自分がパーソナリティを務めていたラジオ番組に来てくれるゲストの曲を入れて、予習も含めてラン中に聴いてました。そうすると、走っているときって余計なものがない状態だから、歌詞カードを見るよりよほど歌詞が入ってくる。五感が研ぎ澄まされているから、余計に歌詞やメロディもしみてくるんだと思います。


——今日はちょっとゆっくり走りたいなあ、というようなモードのとき用に別のプレイリストも用意していますか?


プレイリストはランニング用のこれ一つだけしかなくて、それ以外ではアルバム単位で聴いてます。ちなみにプレイリストは毎日聴いても飽きない、すごく自然なもの。毎日靴を履いたら、自然な流れでプレイボタンを押す。逆にそうじゃないときがイレギュラーで、じゃあ今日天気いいし、Vampire Weekendが聴きたくなる朝だなって思ったら、アルバムを選んで聴く、という感じです。


ちなみに最近だとMONOEYESの「My Instant Song」を聴いたときは、もう衝撃的というか。その曲が最初から好きすぎて嬉しくて、朝45分走っている間、ずっとリピートで聴いてました。たまにそういう朝もある。飽きるほど……っていうかまあ、飽きないんですけど(笑)。たとえば好きなアーティストのアルバムが出て嬉しいときなんかは、家で聴かずにランへ持って出ます。そして、家を出た瞬間に初めて聴く。アルバムを聴くのって神聖な時間だから、走るときに初めて聴くと、高揚感がまた……!


——アルバムを丸ごと聴きながら走るっていうのはいいですね!時間的にもちょうど良い気がします。


そうですね、1時間いかないぐらいの、気持ちよく走れる時間かなと。ちなみに私は、テンションが高いまま走れると脚が絡まらないんです。音楽は私にとって、とにかく「嬉しい!」という感情で走らせてくれるもの。そういう形で、音楽がランと一緒に毎日のスイッチになっていますね。


Photo: Imai Takashi/Text: Suzuki Emiri


高山都

モデル・女優。舞台、ドラマ、映画、ラジオなど、幅広い分野にて活躍中。これまで数々のマラソン大会に出場しており、名古屋ウィメンズマラソンを3時間42分で完走した経験をもつ。

高山都オフィシャルブログ「miyakoto」Powered by Ameba:http://ameblo.jp/miyare38/


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